キリマンジャロ遠征
アフリカ最高峰、独立峰最高峰、世界7大陸最高峰の一つ
コロナが落ち着き、久しぶりに海外登山をしよう!と考え山仲間と行ってきました
選んだ理由は、キリマンジャロ登山ではガイドを付けなくてはいけないので楽かな?という判断と勉強のため
ベストシーズンが乾季の1・2月と言うことで仕事も比較的落ち着く季節
1年前から準備を始め、先ずは航空券の購入
成田→アディスアベバ(エチオピア)→キリマンジャロ国際空港の航空券をネットで約18万で購入(HIS)
次はキリマンジャロ空港から登山基地の町となるモシまでの移動手段と現地ツアー会社
現地ツアー会社は知り合いから現地ガイドを教えてもらい、メッセン―ジャーでやり取りをしました(片言の英語で)
キリマンジャロ ライフタイム アドベンチャー という会社でとても親切で良心的で対応も良かったです
※繋ぐことができるので気になる方はお問い合わせください
その会社とキリマンジャロ空港からモシまでの送迎、登山ツアー、サファリ観光を含んだツアーを契約しました
日程は10日間で成田夜出発の夜到着
小屋泊のルートとテント泊のルートがあり、テント泊のルートのほうが日程が1日長い分高所順応がしやすいです
とはいえ、テントになれていない人が雨の中や海外でのテントで睡眠がとれないとその方がリスクです
ですので我々はしっかり睡眠がとれるように小屋泊にし、高所順応は日本でおこなうようにしました
行きの移動に2日、登山が5泊6日、帰る日に半日サファリで帰りの移動も2日
ツアー料金は日本円(1$=150円程度)で約25万(国立公園の入場料10万やホテル宿泊費、サファリの費用)
これとは別に登山にかかわるガイド・コック・ウェイター、ポーターへのチップや送迎へのチップが別に3万程
自分で手配すれば予算としては概ね50万というところでした
日程とツアーが決まったらタンザニアのヴィザの申請と黄熱病ワクチン接種くらいが事前準備となります
海外登山保険に入るのもありですが、我々は海外旅行保険のみとしました
ヴィザはネットで50$で取得でき、5カ月前に申請してから発効まで私は4日でしたが時間がかかる場合もあるとか
ネット申請できなくてもキリマンジャロ国際空港でも申請ができます(約20分程)
黄熱病ワクチン(17000円位)は絶対に必要ではなく、打っていなくても入国は出来るようです
ただ、現地の判断でイエローカードの提出が日によっては求められる場合もあるので打っておくことがベストです
我々も提出を求められましたが、全員打っていたので手間がかかりませんでした
事務的な手続きは後はデポジットの振込くらいです
登山の準備は、普段から出来るだけ高所(1,000m以上)に居続けることで赤血球数が増え酸素取り込み量が増えます
ですので単発の高所登山より定期的に1,000mを超えることを目標にしてもらいました
もひとつはゆっくり歩くことです
本番はポーターさんが必要ない荷物を先にキャンプに運んでくれるので本人はその日の登山道具のみを持つだけです
そして高所順応できるように900mの登りを8~10時間かけて登ります
ゆっくり長時間歩くことが重要となります
そして、あっというまに遠征の日に
35ℓのザックと60×40位のスーツケース
バゲッジロストを考慮し代替えが効かない登山道具は機内持ち込み
靴はライトアルパインシューズ
夏用やスリーシーズンでも天気に恵まれれば登れますが、雪が降るとアウトです
現に我々はアタック日は吹雪で15cm~20cmの積雪でした
靴や装備はいくらでも持ち込めますが、ポーターさん1人あたりの持てる重量は8~10kg
山に持ち込む装備が増えればポーターが増え人件費及びチップが増えるわけです
靴は登山用1足を履いて飛行機に乗り、替えの靴はトランクへ
最低限の夏・冬登山装備を持っていくことにしました
登山中はポーターさんに荷物を預ける際にドライバックなどを使用します
もちろんそのバックを預け荷物入れにすることも可能です
成田を出発し燃料補給で韓国にいったんおります
そしてアディスアベバへ
アディスアベバはとても活気があり多くの国の人でにぎわっています
ただ、飲み物もお酒も高く500mlの水が5$くらいです
無事にキリマンジャロ国際空港に到着
簡素な空港で先ずは空港に入る前にパスポートの確認
この日はイエローカードの提示も行われており持っていて正解でした
空港内に入ると今度はヴィザの確認
事前申請した場合でも紙で印刷してないと却下
無事に荷物受け取りへ
国際空港といっても到着は2レーンしかありません
無事に全員の荷物が届いていました
到着ロビーはトイレがあるくらいでお土産も売店もありません
無事に現地ガイドのネルソンさんと合流
モシのホテルに行きます
ドライバーやレストランなどのチップの相場は5~10$とのこと
チップ文化が無いので日本では普通に行われるサービスに最初はなんで?っという感じでしたが後で理解できました
日本とは違う発展途上国、チップをもらうことで生活が成り立っています
国としてもそれを決まりとしているのは少しでも国民が裕福になるためと努力させるため
日本にはない感覚ですね
モシにはハイグレードのホテルが2~3件あります
プールがあってエアコンがあります
トイレは水洗、ベッド、蚊帳、シャワー付き、液体せっけんあり、タオル有り、歯ブラシはないです
電源はB3やBFで大丈夫で携帯充電は変圧なしで使用可能、水道水は飲めません
登山前と登山後の2泊ですがとても快適でした
ホテルのレストランもとても美味しく(洋風)値段も手ごろです
ホテルから出るのもいいですが、直ぐに声をかけられて「何か買ってくれ」「案内したからチップ」などになります
頼んでいないで勝手にしたことにチップや料金を求められるので注意が必要です
この日に行うことは残金の精算と登山の説明
保険証券を持って行っておくといいです(保険証券・パスポートなどは写メにしておくのがお勧め)
ぐっすり寝て次の日から登山の開始です
我々のルートはマラングルート
ゲートまで移動する前にガイドチームによる荷物チェックが入ります
気になるチップなどの説明
チップの精算は下山後にホテルで行われます
事前にあらかたの人数は決められているのですが、登山前にゲートで荷物を計り最終人数が決まります
ガイド(2人に1名)、コック(チームに1名)、ウェイター(チームに1名でポーター兼)、ポーター(1人に2~3人)
チップは国の規定で最低額は決まっており、後は参加者の人数でトータルが出ます
我々は6名だったので、ガイド3名、コック1名、ウェイター1名、ポーター11名の計16名でした
我々は預ける荷物を少なくしたのでポーターは最低人員となりました
この他に自分用にポーターを入れたりなどお金を払えば手厚い支援のチームとなります
スタートの国立公園入口、このような標識が各小屋などにも設置されています
飲み水は初日は市販の水を用意してくれるので、それを2ℓくらいナルゲンやサーモスに入れて持ちます
スタートゲート
1879mから登山開始です
最初は森林帯を歩きます
キリマンジャロには4つの地形態があり、森林・低木林・サバンナ・デザートから構成されます
概ね900m登り今夜泊まるマラングハットまで行きます
お昼休みにはランチボックスが用意されます
チキン、ゆで卵、パン(シフォン系)、揚げ物(春巻きみたい物)、果物、ジュース
初日のみ自分で持ち、二日目からは休憩地点に着くと用意されています
スコール、日本でいう台風並みの雨が突然降りだします
レインギアはとても大切で、大きめの傘などがとても有効です
雨に降られ靴の中が少し浸水するも無事にマラングハットに到着
標高2720m
ハットはとてもきれいでトイレは水洗
1棟を真中で半分にして、片側4人が寝られます
キャンプにはダイニングハットがあり皆がここでご飯を食べたりくつろいだりします
到着するとティータイムでポップコーンとビスケットが用意されています
飲み物はコーヒー、紅茶、ミロなどが用意されており、お茶を持参すればいいくらいでした
夕食などの準備はウェイターがおこなってくれます
ウェイターはいわば世話役で、朝起こしに来てその場でコーヒーを入れてくれたり、お湯を用意してくれたり
登山者と一番深くかかわる役目でした
夕食は洋食中心でとても食べやすく味付けも日本人好みの無難な味付けです
朝はおかゆを用意してくれるなど、お客によってメニューをしっかりと考えてくれていました
夕食が終わると寝る前にミーティングです
体調チェック(SPO2など)も行い明日の装備などの確認が入ります
ハットに着くとお湯を用意してくれるので、ティータイムや夕食、朝食の時にサーモスなどを用意して入れてもらいます
毎回登山では2ℓくらいの水をもち、ハットなどで1ℓくらいを飲み、1日3ℓくらい飲みます
水分を多くとり、尿を促すことも高山病対策になります
2日目、森林を抜け低木林帯へ
キリマンジャロ第ニ峰のマウェンジ峰が姿をみせました
そしてサバンナ帯へ
動物の足跡や糞もちらほら
標高3720m、ホロンボハットに到着
このハットは登りだけではなく、山頂に登頂した後に降りてきて泊まるハットなので人で賑わいます
そしてトイレは水洗!富士山と同じ標高なのに!
地形が緩やかな大地と言うこともありますが、国立公園の高い入山料により山の保全が保たれています
山の保全にはお金が必要で、そのお金を登山者が払う、綺麗な山をガイドなどが愛し仕事が生まれ育まれる
日本では難しいかもしれませんが真似できればいいと思いました
ホロンボでは高所順応を含めて2泊します
ウォッシュウォッシュと呼ばれる手洗い洗顔
毎朝、毎夕方にお湯を用意してくれて手や顔が洗えます
私が最も感心した部分でした
このようなサービスは本当にありがたく、ポーターの皆さんのおかげと感謝しました
ポーターを雇うという意味に深く感心しました
2日目の夕日
3日目は高所順応でゼブラロックへ
約4100mまで登り長めの休憩をして午前中でハットに戻ります
ゼブラロックは黒い部分は水で濡れている部分で、白と茶色は風による風化などでできた模様だそう
そしてキリマンジャロが見れる場所まで
これから歩くルート、最後のキボハットが見えます
4600mまで緩やかに登り、最後の1200が富士登山となるのがキリマンジャロです
険しいマウェンジ峰
午後はみんなでゲームをしたりと休息日
この日は私以外の5名が人生最高標高に到達(私はデナリ6190m)
明日からは5000mの世界に向けて出発、この日もよく歩いて、良く食べ、良く寝て
4日目、キボハットへ
登山道は徐々にデザート帯へ
4600m地点からのキリマンジャロ
順調に4729mキボハットに到着
この標高になるとトイレは原始的ですが、なんとwifiが使えるのです!
緩やかな地形でケーブルが地上を走っています
スマホの利便性を政府が理解し国民のために普及させているのがひしひしと感じました
このハットには14時頃に到着し、16時頃から軽食・仮眠を取ります
そして夜の22時頃に軽食を取り山頂アタックとなります
山頂アタックの時間はグループの体調などで決まりますが、我々はスーパー元気だったので1番で発でした
仮眠前の食事、ウェイターのニョカさんと一緒に
4日目22時ピークアタック開始
無風、満点の星空をゆっくりと登ります
約1200を登り、登頂後は一気に3720mのホロンボハットまで、行動時間は15時間ほど
高山病のリスクを減らす登り方、高山病対策がしっかりとされているガイド登山です
途中で1名高山病になりかけるも、しっかり吐いてしっかり吸う呼吸法で改善
吐くことに意識が行き過ぎると吸い込みが浅くなります
脳に酸素が行くように肺の奥までしっかり吸うことが重要です
そして天気は急変し吹雪へ
まさかの雪山登山となりましたがチェーンスパイクはじめ冬季装備を持っていたのでなんのその
先発隊としてノートレースの中進みました
ギボピーク、ノートレースで第一到着、ここまででも登頂証明書はでます
この時で既に積雪15~20cm
撤退かと思いきや先へ行くとなり、雪のキリマンジャロの楽しさがこみあげてきました
先頭のガイドさんの足が雪にはまり代わりに数メートルラッセルをするなどしてステラポイントへ
マチャメルートから多くの登山者が登ってきておりウフルピークまでは踏み跡ができていました
5000m初体験でいきなり吹雪の中でしたが仲間も励まし合い、頑張り合い、ステラまで到着
防寒着などの装備を整えて残りの30分をいざ進みます
我々はネルソンさんの提案でエクストラポーター(酸素や担架を運ぶポーター)をつけていました
アタックの時はこの2名が仲間の荷物を持ってくれました
また、ガイドも大きなザックを空にして動きが鈍くなったお客の荷物を持つなどしての何としても登らせる体制
高いお金と時間を使ってく登りにくるお客を登らせる姿勢に感心し学ぶことが多くありました
そして現地時間8:00
5895m アフリカ最高峰、独立峰最高峰、7大陸最高峰のキリマンジャロに全員登頂!
アタックチーム
山頂は多くの登山隊で賑わっていました
天気も良くなり遠景が
歩いてきた尾根が見えます
久々の海外登山
5895mに仲間と登れたことに本当に感謝
登頂率60%といわれるキリマンジャロ、それを誰一人欠けないで登れたのは各々の頑張りの証
初めて海外登山で仲間が欠けることなく全員が登頂しました
高いお金と休みを取って挑戦する海外遠征、やはり結果は大事だと思います
私自身はモンブランで2回の敗退(天候)を味わいました
登れる喜びも登れない悔しさも身に染みて知っています
今回は仲間と、そして、アフリカの仲間と一緒に登れて本当に光栄でした
ありがとう!!
写真を撮って喜びを分かち合って暗闇の中登ってきた登山道を見ればなんとも、、
下りはハイスピード
キボハットまで下り、仮眠を取ったのちホロンボハットまで下ります
早く下りれば休憩が多く取れるシステムです
いつの間にか仲間の歩くスピードも速くなっている
登れた歓喜とここまでの行程で培われた登山力
みんなが成長した遠征だとひしひしと感じていました
順調にキボハットまで降り、1時間ほどの仮眠を取りホロンボハットへ
ホロンボハットにつき、ウォシュウォシュをして皆で乾杯
お酒は下山するまで飲めないのでホットドリンク
アタックの1日はとにかく甘い物を取るように促されます
低体温にも運動にも糖は必要です
しかし、水と糖ばかりを取っているとナトリウムが不足します
やはりバランスよく糖と塩分を摂取するのが一番です
ホロンボハットで登頂の喜びを分かち合い、疲れた体を休めました
6日目
ホロンボハットからゲートまで一気に下ります
出発前にお世話になったチームへ報酬の連絡が行われます
この報酬の連絡がスタッフの仕事への喜びや感謝に繋がります
歌を歌って喜びを表現し称えてくれる
最高でした
ニョカさんがメインボーカル
ゲンタグループ(ツアー会社がつけたグループ名)
こうして喜びの中無事に下山が出来ました
下山の最後の方はお腹が減るは減るは
下山後は登頂証明書が発行されるのを待つまでにビッグランチがあるのです
下山しゲートにて いい笑顔
ビッグランチ 若いアフリカ人の子が靴を洗うときてくれポーターかと思って渡すと、その後お金や物をせがまれました
全員が登頂証明書を受け取り登山が終了
ガイドチームのサポートのおかげで快適な登山ができたと共に初めてガイドを雇う登山をしましたが日本人ガイドとして
多くを学べました
キリマンジャロという山に多くの人が生かされています
そこには雄大な自然があり、先進国の日本が昔は持っていたであろう自然への愛やいつくしむ心であふれていました
先進的になれば原始的な部分や自然は無くなっていきます
でも人も動物として自然の一部であることを忘れてはいけないと今回の遠征で感じました
八ヶ岳に生かされている
この思いを忘れることなく登山をしていこうと思います
ホテルからのキリマンジャロ
長文を読んでいただきありがとうございました
キリマンジャロ登山のアドバイスやサポートはお気軽にご相談ください
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